「請求」と「刑事」は別の手続きだが、同時に進行することがある

mbp-japan.comの発表・報道によると、弁護士・若井亮氏がキャバクラでの接触トラブルに関する解説記事を公開した。記事は2026年10月1日時点の法令(令和5年7月13日施行の改正刑法による不同意わいせつ罪、令和7年6月1日導入の拘禁刑の表記)に基づいている。

解説によると、接触を指摘された場合の問題は「民事の面」と「刑事の面」の二つに分かれる。民事はキャスト本人や店からの金銭請求、刑事は警察の捜査と検察官による処分だ。「示談金を払えば警察には行かない」という申し出は、この二つをまとめたものであり、どちらの面について何を約束するのかを分けて考えないまま署名・支払いをすると、後から争う余地が狭まると指摘されている。

刑事リスクとしては、胸や下半身への接触が不同意わいせつ罪(刑法176条1項)にあたる可能性があり、法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑で罰金刑の規定はない。また、東京都の迷惑防止条例は公共の場所での身体接触を規制しているが、キャバクラの店内がその対象に含まれるかは店の構造や状況によって判断が分かれうるとされている。肩や腕をつかむ行為は、わいせつとまでいえない場合でも暴行罪が問題になりうる。

店からの「罰金請求」や後日の警察対応にも注意が必要

店が「お触り罰金〇万円」として請求してくるケースについて、私人が刑罰としての罰金を科すことはできないと解説は明確にしている。問題となるのは、その規定が入店時の契約内容になっていたか、また金額が有効かという民事上の問題であり、著しく過大な金額は公序良俗違反となる場合もあるという。

また、その場で謝罪して退店した後、数日から数週間後に警察から連絡が来るケースも紹介されている。指名・会計記録やクレジットカードの利用記録、防犯カメラ映像などから客を特定できるため、「時間が経てば問題にならない」とは言い切れない。不同意わいせつ罪の公訴時効は12年とされており、日が経過した後でも捜査が始まる可能性がある。

さらに、キャスト本人ではなく店長らが交渉の窓口になるケースでは、弁護士でない者が報酬を得る目的でキャストの慰謝料交渉を代行することは弁護士法との関係で問題になりうること、また店に支払った金銭がキャストに渡っていなければキャストとの関係では未解決のままになる点も指摘されている。

この解説は客側の立場から整理されたものだが、キャバクラで働くキャストや経営者にとっても、自店でのトラブル発生時に「民事・刑事・交渉窓口の適法性」という三つの軸が絡み合う構造を把握しておくことは、適切な対応を取るうえで有益といえる。特に、非弁行為のリスクや、店とキャスト個人の損害が法的に別物である点は、店舗運営側が日頃から整理しておくべき論点だ。